飛蚊症

• 浮遊物は空や白い壁紙など明るいところを見た時に特に見える
• 視線を動かすと浮遊物もついてくる
• 年を取ってから急に見えるようになった
• 実は小さい頃から見えていた
• 他に特に症状もないのであまり気にしてない
• けっこうひどい近視だ
• だんだん浮遊物が増えてきているように思う
• 何かの病気だったらと不安になってきている

飛蚊症とは冒頭にも説明した通り、視界に蚊や糸くずのような浮遊物が見える症状を指します。

急にそれに気づいたりするとしばらく慣れなくてうっとおしく感じますが、特に他に目立った症状がないことがほとんどなので、そのうちに気にならなくなり放置されてしまう場合もあります。

確かに特に気にしなくても問題のない場合もあるのですが、中には病気が原因になっている場合もあるので注意が必要になります。

目で物を見る時、一番表面側から角膜（かくまく）、前房（ぜんぼう）、水晶体（すいしょうたい）、硝子体（しょうしたい）を通り網膜（もうまく）までその情報が達して見えています。

飛蚊症で問題になるのは硝子体になります。

硝子体は水晶体の後ろにある大きな組織で、卵の白身のような透明のゼリー状の物質で満たされています。

飛蚊症ではこの部分に何らかの原因で濁りがみられます。その濁りの影が網膜に伝わり蚊や糸くずのように見えてしまうというわけなのです。

飛蚊症で硝子体が濁ってしまうのは、硝子体に何らかの変性や炎症、出血などがあるからになります。

それを起こす原因によっては気にしなくてもいい場合もありますが、病気が原因になっている場合だと対処が必要になることもあります。

＜気にしなくていい飛蚊症（生理的飛蚊症）＞

それほど気にしなくてもいい飛蚊症には「加齢による場合」「近視による場合」「生まれつきの場合」があり、放っておいても問題がないことがほとんどです。

しかし見える浮遊物が増えるなど飛蚊症の症状が進むような時は処置が必要になることもあるので、そんな時はまず眼科を受診してみるといいでしょう。

〇加齢による場合

加齢の影響は目にも現れます。

飛蚊症で問題になるのは硝子体ですが、４０代辺りになると加齢により硝子体のゼリー状の組織の部分部分が液状に変化してしまうのです。

この液状の部分は加齢に伴い増えて大きくなっていきます。

そうすると硝子体が委縮していき後ろ部分が網膜から剥がれる後部硝子体剥離（こうぶしょうしたいはくり）という状態になります。

この部分が飛蚊症として蚊や糸くずのように見えたりするのです。６０代くらいになると多くの方に起こるようになります。

〇近視による場合

加齢により後部硝子体剥離が起こると説明しましたが、若くても近視の人の場合は硝子体剥離が起こりやすかったりします。

〇生まれつきの場合

まだ生まれる前の胎児の時は硝子体には血管が通っています。

この血管は目が完成すると消えていくのですが、中にはその後もうっすらとその名残が残る場合もあり、これが飛蚊症の原因となります。

＜病院の対処が必要な飛蚊症＞

気にしなくてもいい飛蚊症でも見える浮遊物が増えるような場合は、病院での対処が必要な病気の可能性もあります。

〇網膜裂孔（もうまくれっこう）

加齢や近視の影響で起こりやすい後部硝子体剥離が引き金となって起こることがあるのが網膜裂孔になります。

後部硝子体剥離によって網膜に穴が開いてしまいます。網膜裂孔から次に説明する網膜剥離に進行することもあり注意が必要になります。

〇網膜剥離（もうまくはくり）

網膜剥離は網膜が剥がれてしまう病気で、早期に発見でき手術などが行われると予後も良かったりしますが、発見が遅れると急激に視力が低下したり、深刻な場合は失明してしまったりします。

網膜剥離では痛みがあるわけでもなく早期発見が難しいのですが、飛蚊症が前兆として重要なサインになることがあります。

〇硝子体出血（しょうしたいしゅっけつ）

後部硝子体剥離によって網膜の血管が引っ張られて出血してしまう場合があります。

これが硝子体の中に流れ硝子体出血となります。

これは他にも高血圧や糖尿病などの血管から出血しやすい病気を持っていると起こりやすくなります。

また、目をひどく打ち付けてしまうなどの目のケガでも起こることがあります。

出血の量によって視力にも影響が現れてしまったりします。

〇ふどう膜炎

ぶどう膜とは虹彩、毛様体、脈絡体という眼を覆っている組織の総称になります。

ぶどう膜炎とは何らかの原因でこのぶどう膜に炎症が起こる病気になります。

炎症が起こると硝子体が濁ってしまい飛蚊症の他、光をまぶしく感じたり、視力の低下、目の充血や痛みなどが現れたりします。

ぶどう膜炎の原因ははっきりしないことも多いですし、環境や人種によっても大きく違いがみられたりします。

比較的に日本人に多いのはサルコイドーシスやベーチェット病などの病気の他、帯状疱疹や真菌などだったりします。

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