リーキーガット症候群

リーキーガット症候群という名前になじみのない方も多いかもしれません。

しかし、実は様々な不調がリーキーガット症候群によって引き起こされている可能性があることがわかり、最近注目を浴びるようになりました。

リーキガットとはLeaky（液体などが漏れる） Gut（腸）という意味になります。

リーキガット症候群では腸の粘膜に穴が開いて、そこから菌やウイルスなどの有害物質が血中に漏れ出てしまい、血流にのって体中に運ばれてしまうのです。

その結果、冒頭にも説明したような様々な不調が様々な場所で起こります。

腸には人の体の免疫細胞の７０％ほどが存在し、体に菌やウイルスなどが取り込まれてしまわないようにバリアの働きをしています。

よく「善玉菌」とか「悪玉菌」という言葉をテレビのコマーシャルなどでも聞かれたことがあるかと思いますが、厳密には善玉菌、日和見菌、悪玉菌というのが腸の中で生きています。

健康な腸では善玉菌が正常に働くことで、悪玉菌が活発に動いたり、善玉菌にも悪玉菌にもなりうる日和見菌が悪玉菌になってしまうことを抑えているのです。

つまり善玉菌は腸の免疫細胞をさらに強化するように働いています。

しかし何らかの理由から善玉菌の働きが弱まり悪玉菌が活発になると、腸の粘膜が傷つき、細胞と細胞のつなぎ目が緩くなって隙間が空いてしまうことがあります。

そうすると体のバリアである免疫力が低下し、様々な菌やウイルスなどの有害物質が体内に取り込まれてしまうのです。

不調の現れ方としては、じわじわと時間をかけながらそういった有害物質に蝕まれ、現れてくるというイメージだったりします。

軽い不調から徐々に深刻さを増していき、遂には糖尿病や高血圧、肝臓病などの生活習慣病を起こしたり、免疫系に影響が現れてアレルギーの他、クローン病、潰瘍性大腸炎、膠原病のような自己免疫疾患を起こしたりします。

リーキーガット症候群には暴飲暴食、偏食、ストレス、食品添加物、アルコールやカフェインの摂取、特定の薬（NSAID、ステロイド剤、抗生物質等） の服用など様々な要因が考えられ、さらにこれらの要因が複数、複雑に影響して起こるのです。

中でも腸は「第二の脳」とも呼ばれるように、たくさんの神経細胞があります。

さらに腸脳相関（ちょうのうそうかん）と言って脳との間の送受信も盛んなのですが、その送受信を担うのが自律神経になります。

自律神経は心身の内外で起こることにつぶさに対応しながら、腸だけでなく、胃や心臓などの内臓や、筋肉や呼吸などの働きをコントロールしています。

そのため自ずとストレスの影響を受けやすかったりするのです。

自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っていて、その時に応じてどちらかが優位になる形で拮抗し、様々な働きをコントロールしています。

ストレスがかかると交感神経が優位になり、筋肉が硬くなるなどして心身が緊張します。

しかし腸の働きはというと副交感神経が優位になることで活発になるので、ストレスがかかり交感神経が優位になると働きが低下してしまうのです。

継続するストレスでそのような状態が続くようになると腸の働きも低下したままになり、そうなると腸内の善玉菌の働きも免疫力も低下してしまいます。

例えばストレスがたまるとそれを発散しようと暴飲暴食してしまい、アルコールを飲み過ぎてしまうというようなこともあったります。

また、そうやって暴飲暴食を繰り返しアルコールを飲み過ぎると、体に不調が起こるようになったりして、それがさらにストレスにもなります。

先ほども説明したように「ストレス」「暴飲暴食」「アルコール」はいずれもリーキーガット症候群の要因ですが、これらの複数の要因がそれぞれ影響しあい悪循環を生み、不調を深刻にしていくというようなことがよく見られるのです。

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